2002年には、上野のKK図書館や、斜めのコンクリートの柱がガラスの箱を貫く環八沿いのA・J新社屋が完成した。 A藤の代表作が関西圏に多かったのは事実だが、どうも東京づいている。
Dアパートの建替プロジェクト(2006年1月完成予定)もある。 表参道のケヤキ並木に面し、場所が場所だけに、新しい東京の顔になることが宿命づけられた建築だ。
今やA藤は、東京にとっても欠かせない建築家である。 そこで、大阪の事務所にて、東京観をきいた。
開口一番、A藤は東京の都市計画には理念がないと語る。 これでいいのか、と。

例えば、品川や汐留の開発。 ぱらぱらのデザインのビル群は、理念なき都市計画をまさに表現している.なるほど、汐留のエリアでは、D本社ビルだけは優雅な造形だと感じられるが、それ以外は印象が薄い。
R・RによるNテレビタワーもベストとは言いがたい。 品川駅横に建設される高層ビル群は、無秩序な景観を生んでいる。
かといって、それぞれのビルに強烈な個性があるわけでもない。 中途半端なのだ。
なぜ、こうなったのか。 A藤は、以下のようにその理由を説明する。
戦後、がむしゃらに復興をめざし、バブル期には、もはや日本は欧米を超えたと酔っていた。 経済一辺倒になってしまい、社会は文化のことを忘れる。
ゆえに、日本の政治家は都市に対する思い入れがないという。 都市づくりは、民間の企業がリードした。
日本の社会を動かし、都市に反映される。 その結果、経済性だけでドライブさせた無秩序な景観が生まれた。
有名建築家が参加するとしても、全体の計画や内部のプランには手を出せず、ビルのファサードしかいじれない。 商品としての高層ビルのデザインは、ただの着せ替え人形になってしまう。
文化施設も少ない。

パリは東京とは対照的な都市だろう。
R美術館のガラスのピラミッドなど、1980年代に都市を再生させたG・Pの計画は、政治家が主導権を握っていた。 O美術館のような古い施設の転用や、パリの軸線を意識した開発もすぐれている。

A藤によれば、都市的な文脈への配慮は、60年代に文化大臣が制定したマルロー法がしっかりとした下地をつくった。 単体の建築ではなく、群として歴史的街区を守るというもの。

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